広汽トヨタ、ファーウェイ・シャオミとのダブル協業でUX再定義
広汽トヨタは2025年6月12日、テックデーを開催した。そこでトヨタは、中国市場におけるユーザー体験(UX)・車載インターフェースの再構築を目指し、ファーウェイとシャオミという中国テック2強との協業を同時発表した。これは、従来自社内で完結していたトヨタのインフォテインメント戦略に対する大幅な方針転換であり、現地企業との戦略的統合によるローカル最適化が強く打ち出された格好だ。

まず注目されたのが、ファーウェイとの協業強化「華為合作2.0」である。今回の提携は、車載OS・通信・電動化部品という3領域にわたる包括的な連携が特徴となっており、具体的には以下の内容が発表された。新型RAV4で初搭載されたトヨタ独自OS「アリーン」は中国でも展開を予定していると考えられるが、bZ系の中国独自BEVでは他社OSの活用も想定されているようだ。

1.HarmonySpace 5.0の初搭載:トヨタ車として初めて、ファーウェイのマルチスクリーン車載UIシステム「HarmonySpace 5」が組み込まれ、音声・映像・アプリの統合操作が可能に。2.HiCar 5.0 との完全連携:スマートフォンとの連携機能を持つファーウェイ製車載プラットフォーム「HiCar」の最新版が採用され、ナビ・音声アシスタント・スマートホーム機器とのリアルタイム連携が実現。3.NearLink の採用:ファーウェイが開発した低遅延・高信頼の次世代無線通信規格「NearLink(星閃)」が採用され、車内通信と機器連携の信頼性が大幅に向上。4.DriveONE 電動駆動システムの導入:インバーターや電動ドライブユニットに関しても、ファーウェイの「DriveONE」コンポーネントを一部採用し、駆動系統のスマート統合を進める。

さらに、今回はシャオミとの協業も同時発表され、トヨタ車の「鉑智7(bZ 7)」が初めてシャオミ・エコシステムに正式対応するトヨタ車となることが明かされた。これは、従来スマートフォン連携やスマート家電連携を積極展開してきたシャオミが、自社製EV(SU7など)を越えて他社OEMと連携する初の事例であり、両社にとって大きな意味を持つ。bZ7は、車両自体がシャオミ製スマート家電・ウェアラブル・アプリと双方向に通信し、生活全体を包括する「人車家融合」型UXの中核を担う。ユーザーは車内から自宅のエアコンやカメラを操作したり、スマートフォンから車両状況を確認したりすることができ、まさにシャオミが得意とする“ライフスタイルOS”との融合が実現される。

トヨタにとってこの取り組みは、製品そのものだけでなく「車を取り巻くデジタル体験」をも設計対象とする戦略転換を意味する。これまでのようなグローバル統一型UXでは中国市場に適応しきれないという判断があったと思われる。トヨタは中国テック大手の“エコシステムそのもの”を活用することで、現地ユーザーとの接点を強化しようとしている。また、こうした中国テックのソリューションの大胆導入は、中国現地からの評価も得やすくなる。

興味深いのは、このファーウェイ/シャオミという2社が本来競合関係にありながら、トヨタが両社と“非排他的に”同時協業する姿勢を見せたことである。これは、トヨタがいかに中国市場の多元的なテックエコシステムを重視しており、1社依存ではなく複数のアライアンスによって“サービス中立性”を保とうとしていることの表れともいえる。今後、bZシリーズやその他中国市場向けモデルを中心に、ファーウェイとシャオミの技術は段階的に搭載が拡大されていく可能性もある。

トヨタのスマートUX戦略は「日本で作って中国に届ける」から「中国で構想し、現地で完成させる」へと完全にシフトしつつある。さらにトヨタ知能電動車研究開発センター(IEM by TOYOTA)が提唱する、「中国における開発成果や“学び”は中国だけでなく、グローバルにも還元していく」が実現されるか、注目される。

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