2025年上海ショー技術ランキング「EV技術→人型ロボット」編
中国自動車情報メディア「蓋世汽車(Gasgoo)」は2025年の上海モーターショーで公開された技術に関するランキングを発表している。中国自動車各社は、自動運転技術を活用でき、当面は高収益を望める「ヒューマノイドロボット・サービスロボット」領域への進出を加速。注目すべきは、自律制御、アクチュエーション、センサー統合といった自動車の知能化で培われた技術群が、まさに“ヒト型”に転生し始めている点である。

小鹏(Xpeng)は、同社のスマートカー技術を応用して開発したヒューマノイド「IRON」を発表。身長178cm、体重70kgのリアルな人体プロポーションで、22自由度の可動関節と1:1比例の双腕アクチュエーターを搭載。歩行安定性や物体の把持精度を高めるため、運動制御に強化学習を用いており、AIOSによる「大脳」制御とROS系統の「小脳」制御を分離設計。自動車のOTA、知覚融合、スムーズな経路生成といった技術がそのままロボット制御に移植されている点が特徴だ。

広汽集団が開発した第3世代スマートロボット「GoMate」は、四輪走行と二足歩行のハイブリッド変形機構を持つ新機軸の製品。両脚で最大1.75mの段差を越え、二輪モードでは高速度・狭所移動にも対応する。ハードウェアは自社製造で統合され、電動ドライブモジュール・視覚感知・運動制御系まで完全内製されている。GoMateは主に施設案内や倉庫運搬用途で実用化を進めており、スマートモビリティとロボティクスの境界を曖昧にする存在となっている。

奇瑞(Chery)とロボット企業AiMOGAが共同開発した「AiMOGAロボット」は、現在実店舗(JOYSTAR 4S店)で実際に接客稼働中のヒューマンインターフェース型サービスロボット。歩行時速最大1m/s、上肢自由度17軸、関節トルク最大512N·mというスペックを持つだけでなく、接客・案内・表情認識・音声対話・3Dレーザースキャン機能まで搭載。販売フロアでの実運用を前提に設計されており、「スマート製造」だけでなく「スマート接客」への応用が視野にある。

日本精工(NSK)は、自動車で培ったベアリング技術・軸受ユニット・アクチュエーター機構を、ヒューマノイド向けに最適化。可動関節、回転ジョイント、センサ統合ベアリング、温度管理ユニットなどを組み合わせたロボット用トータルモジュール群を展開している。すでに複数のロボットOEMと連携しており、自動車サプライヤーとしての部品供給から「精密運動のサポーター」へと役割を広げつつある。ちなみに日本精工は中国において、漢字表記を止め、NSKを前面に打ち出し、日本色を消している。

中国の大手自動車電子サプライヤー均勝電子(Joyson)は、「車とロボットの融合技術」を掲げて人型ロボット向けモーター制御系・電源管理・センサーフュージョンユニットなどを包括提供。既存のADASセンサやEV制御部品を人型ロボット向けに再構築、軽量電機駆動部品やLiDAR統合モジュールを開発中。すでにEV用ECUの実績がある同社ならではのアーキテクチャ提案に注目。

業界の背景にあるのは、ヒューマノイドロボットは“次世代EVの鏡像”か、という課題。このように、各社が出展したロボットは単なる目新しさではなく、スマートEVの副産物として生まれた知能制御・センシング・パワートレイン最適化技術の応用体現と言える。つまり、これらロボットは「もう一つの自動車」になりつつある。今後、人と車とロボットの技術基盤が統合される時代に。