bZ3CをbZ5に改名して発表のトヨタ、bZシリーズの向かう先は
一汽トヨタは2025年4月23日、コンパクトSU BEV「bZ5」を正式に発表した。もとは「bZ3C」と称していたものを改名、広汽トヨタが先行販売している「bZ3X」の姉妹車となる。同じくLiDARを搭載、Momentaのスマートドライビングソリューションを採用している。一汽・広汽両者の「bZ4X」、一汽のセダン「bZ3」に続くbZシリーズとなるが、ここにきてのリネーム、しかも数字を大幅にいじるという手法は、あのトヨタすら迷走している可能性も示唆する。

bZは当初、"beyond Zero" の名の通り、脱炭素時代に向けたトヨタのグローバルEVブランドとして位置づけられていた。2021年に発表されたbZ4Xは、北米・欧州・中国で同時展開され、まさに世界統一戦略の象徴的存在だった。しかしその後、市場環境は大きく変化する。欧州ではインフラの整備不足や価格競争の激化、北米でもBEV人気の低迷がみられ、EV普及が足踏み状態に。各国政府の補助金政策も変動し、メーカーにとってのリスクは増した。

一方、中国市場だけは異なる道を歩んでいる。政府主導のインフラ整備、消費者のEV受容性の高さ、そして急速に進化するソフトウェア・運転支援機能へのニーズ。この特異な市場環境にトヨタが適応すべく、bZシリーズは徐々に“チャイナ特化型ブランド”へと性格を変えつつある。

その象徴がbZ5の命名だ。本来bZ3Cとして設計されていたモデルに、あえて「5」という新しい番号を割り振った背景には、自社のbZ3、広汽トヨタのbZ3Xとの製品競合を避ける意図があるのは明確だ。特にbZ3は月販数千台と、日系BEVでは一応は初めて成功したものと位置付けられる。だがその副作用として、bZシリーズにおける命名規則のロジックは曖昧化した。

車名+数字と言えば、中国振興の理想(Lixiang)だ。SU REEVのLシリーズは「L6~L9」まで、番号=車格という直感的な構造を持ち、現在に至るまで、他社もよく流用している。それとは異なり今回、「開いている番号にとりあえず名前をあてはめた」ような印象を与える。さらに今回、トヨタはbZシリーズのフラグシップセダンとして「bZ7」も発表している。3、4、5、7と車体が順に大きくなっていればいいが、そうはなっていない。

例えば今後、bZ6を企画する際、どのようなセグメントや機能性を持たせるのか、シリーズ内での整合性を保つことが難しくなっていく。それよりも深刻なのは、中国消費者にも直感的にbZ6がどのような車なのか、よく分からない点だ。

今はよい。目まぐるしく変化する中国市場では、“速度”が最優先であり、命名の整合性よりも“今売れる形”が正解なのかもしれない。だが、製品が増えれば増えるほど、「bZとは何なのか」「数字の意味は何か」という問いは避けられなくなる。

bZシリーズは、今や中国でしか通用しない名称体系になりつつある。bZ5というネーミングは、その転換点を象徴している。トヨタは今後、bZを「世界の電動化ブランド」として再び育て直すのか、それとも「中国限定の実験的EVレーベル」として使い切るのか──その判断が問われる段階に入っているのかもしれない。