
広汽集団は2025年3月18日、ファーウェイとの協業に基づき、15億元(約300億円)を投じて新会社「華望」を設立した。華望は、広汽が100%出資するものの、製品設計・開発プロセス・ブランド戦略の中核にファーウェイが深く関与するというユニークな構造。名称の「華望」は、ファーウェイ「華為」と、そのスマートカー部門からスピンオフした「引望」から取ったと見られ、ファーウェイ色の強いネーミング。しかし、ファーウェイ自身は出資を一切行っていない。この非対称的なパートナーシップは異例だが、ファーウェイが常に貫いている「自らは出資せず、技術と開発支援に特化する」という方針に則ったもの。
この構造は一見、広汽側が「一人損」をしているようにも見える。しかし、その裏には埃安(AION)の成長鈍化に対する広汽の強い危機感がある。AIONは一時期、理想(Lixiang)やファーウェイ「鴻蒙智行(HIMA)」問界(AITO)と販売台数を競ってきた。しかし2024年以降はLiやAITOの半額ほどの価格帯なのに、AIONは販売が伸び悩むようになった。つまり、単独では少なくともLiやAITO のような30万元(約600万円)以上の高価格帯市場では戦えない。
注目すべきは、この華望が、ファーウェイが他のOEMと展開している「界」シリーズ(問界、智界、享界、尊界など)とは異なるポジションに置かれていることだ。「界」でもファーウェイのフルソリューションを導入、ファーウェイが販売も協力するという体制だが、この中で別会社を設立したものはない。華望はブランド設計段階から両者で緊密に連携して共同で構築し、ファーウェイの開発プロセス(IPD/IPMS)までも取り込むという、より深度の高い連携体制となっている。
つまり、「界」とは異なるスキームとなり、ファーウェイと各OEMとの関係性から考えて、華望はファーウェイにとって、「界」ブランド群を超える上位に位置付けられる可能性がある。そうであってこそ、広汽が単独で巨額を投資し、社名も容易にファーウェイを連想させるものにした意義も出てくる。ファーウェイにとっても、自らは出資せず、新たな「ショーケース」として最新技術の統合・検証の場として活用できる。その成果を「界」にも還元し、好循環も想定できる。
今後、華望がどのようなブランド名や車種名で市場に登場するのかはまだ明らかではないが、「華望」がそのままブランド名になる可能性はある。一方で、ファーウェイがこれまで展開してきた「界」ブランド群とは明確に一線を画す命名になる可能性もある。いずれにしても、ファーウェイにとって「界」が中核、「華望」がプレミアム、というブランドヒエラルキーが今後の戦略に組み込まれていくことになりそうだ。
中国自動車業界におけるファーウェイの影響力は、単なる技術提供を超えて、ブランド形成や販売チャネル、UXデザインにまで及んでいる。その中で「出資せずに支配する」というファーウェイの独自スタンスが、中国OEM各社にとって「違和感」を覚えつつも受け入れざるを得ない現実として機能している。広汽の華望設立は、その象徴的な一例であり、同時にファーウェイ時代の自動車産業の「新しい標準」を提示している可能性がある。もはやファーウェイと関係しなければ、中国では自動車製造・販売ができない時代に突入しているかのようだ。
ファーウェイとの連携確実、広汽が単独で行っている華望
— CHINA CASE (@CHINACASE2020) August 14, 2025
・広汽AIONも出資
・販売店募集開始
2025年末までに発表予定、と https://t.co/2H2FN2gfMP
