中国新興がまた一つ消滅へ、2025年初めての淘汰は広汽HYCAN
中国国有メーカー広汽集団は、そのサブブランド「HYCAN 合創」の店じまいを決めた。2025年初めての新興ブランドの終焉となる。全く売れないHYCANを残しておく意味もなく、また最大の自社ブランド「埃安(AION)」にも成長の陰りが見える中で、事業の集中という意味合いもある。業績低下に歯止めがかからず、すでに今後3年で立て直しを宣言した広汽集団だが、新年の大きな第一手が自社ブランドの消滅となった。

HYCANは2019年、広汽集団と中国新興メーカー蔚来(NIO)の合弁としてスタートした。当時はNIOが注目されていた時期で、そのNIOが国有企業とタッグを組んで展開する、ということで話題が先行した。2020年には初弾SU BEV「007」を販売開始。デザインに新奇性はあったが、定価26万元ではあるものの、それに見合う性能がなく、当然のようにいきなり販売不振となった。

時を同じくして、急成長を遂げていたNIOの雲行きが怪しくなりつつあった。NIOも自社事業に専念する必要があり、2021年には早々にHYCANからは手を引いた。驚くべきことにNIOはこの時期、別の国有メーカー長安とも合弁を展開、それもNIOは手を引いている。この長安との合弁が今の阿維塔(AVATR)でこちらは一応、再生しつつある。しかし長安も業績的には厳しく、この時期NIOと付き合った両国有が現在、双方とも業績を落ち込ませているのは妙な符号だ。

ただし、HYCANが広汽集団単独再建になったのに対して、AVATRは違う。出資者にはバッテリー世界最大手の寧徳時代(CATL)を引き入れ、ファーウェイとも協業、そのソリューションを大量投入した。今になってみれば、このエコシステムの有無が両者の違いにつながったともいえる。

2021年に広汽集団はおそらく本拠地の広州市が同じで懇意にしているであろうベンチャーキャピタルに出資を求め、HYCANの再建に着手。その後、三車種ほどの新車をリリース、勢いの盛り返しを図ったが、中国BEV市場は競争が増すばかりで、完全に埋没した。2024年からは従業員への給料未払い、退職従業員の持株会出資金の未返納などトラブルが伝えられるようになり、月販は100台前後で推移した。

今回広汽集団は公告で、ベンチャーキャピタル等出資者がその持ち株比率によりHYCANに資金を提供、従業員への補填や、今後10年の既存ユーザーへのアフターサービス費用などに充てるという。今のところ総額で2億元(約40億円)を準備しているようだが、実際に発生する費用で変動すると明記している。そこまで詳細には触れられていないが、これを機にHYCANは生産を停止、事後処理及びアフターサービス会社になることが見込まれている。

現時点で中国市場で販売が確認できる新興ブランドは51ある。そのうちの半分以上が月販3000台以下であり、これらのブランドは基本的にすべて今後淘汰されていく見込み。HYCANは国有企業系だっただけに、国有資産の棄損につながることは絶対に許されない関係上、早々の退場となったが、どちらにしろ遅かれ早かれということになりそうだ。2025年も複数のブランドが淘汰されていく可能性が高い。