
中国新興メーカー蔚来(NIO)は2024年12月30日、江蘇省全域で各市町村に、最低一つのバッテリー交換ステーションを設置したと発表した。これにより同省は、NIOが進める、すべての市町村に充電・交換設備を設置する「県県通」を体現した初めての省となった。NIOは2025年末までに中国27省市区でこの「県県通」を実現する予定。香港・マカオ・台湾を除けば、中国は31省市区だから、例外は四つしかない。「すべてを網羅」が大好きな中国人らしい発想だが、中国ど田舎にもバッテリー交換のニーズが存在するのかは不明だ。
現時点までに、江蘇省には383ヶ所のバッテリー交換ステーションを設置、江蘇省の95の市町村にすべて設置した。383ヶ所というのはNIO全体のバッテリー交換ステーションの約13%にあたる。上海市と隣接し、沿岸部の経済的に恵まれた省らしく、NIOのバッテリー充電・交換インフラは充実しているようだ。NIOとしては、江蘇省ユーザーは家を出さえすれば、バッテリー交換の利便性を享受できる、としている。また、それらのネットワークを使えば、充電量の心配をせずに、江蘇省内であれば自由に目的地に移動できる、とした。
しかしその江蘇省と言えども、95の市町村すべてにハイエンドBEVのNIO車を購入できる層が満遍なくいるとは思えない。NIOは、「クシイ県は中国のザリガニ料理の発祥地で、十三香スパイスのザリガニ料理はここから普及、宜興市は最高級の紫砂土の急須を生産、「宝石は取るに足らず、宜興の紫砂こそ価値がある」とされる。高郵市で生産される塩漬けアヒルの卵は全国的に有名で、1000年の歴史がある」と、やはりNIOユーザーが多いであろう都心部からの観光目的、そこでのバッテリー交換をPRしている。
2025年6月30日までに、北京、上海など14省市区でこの「県県通」を実現、累計1200ヶ所の市町村にバッテリー交換ステーションを網羅する予定。また2025年末までには、遼寧、甘粛、寧夏など13省市区でも同様に実現する計画だ。別にNIOでは現在2900ヶ所程度のステーション数を2025年末までには5000ヶ所にしていく、ともしている。この「県県通」を肝に据え、ステーション整備を進めていくようだ。ただし、2024年末までに3000ヶ所を整備するという目標には届かず、2025年はより難しい目標を掲げていることになる。
NIOは2024年、第二弾「楽道(ONVO)」、第三弾「蛍(firefly)」を展開。NIO車の30万元以上の価格帯と比べ、すでに販売開始している20万元台のONVO、今後販売を予定している10万元台のfireflyと割安であり、これらもすべてバッテリー交換だ。ONVOに関しては現状のステーションで対応できるが、fireflyは小型のため、そのため専用のステーションを新設しなければならない。firefly用ステーションの整備加速も2025年目標の根拠になっているのだろう。
一方で、NIOのステーションは世代を重ねており、最新は第四世代。現在の2900ヶ所のうち、3分の1近くが第一世代のものとされ、この第一世代ではONVOのバッテリー交換はできない、とされている。中国ではなんでもそうだが、とにかく数を揃えようとするものの、この第一世代の最新世代への切り替えもONVO普及にとっては必須のように思える。どこまでお金がかかるのか、NIOの黒字転換が見通せない元凶にもなりつつある。NIO自身は2026年には黒字転換を達成する、としているが、NIOからの公式な黒字転換時期予想はこれで数度目。オオカミ少年化しかけているのが実情だ。
