外資十八番の姉妹車戦略、今なぜか中国勢が採用、その背景は?
トヨタ、ホンダ、そしてVWをはじめ、中国で展開している姉妹車戦略。ホンダやVWはこれをBEVにも展開しているが、正直あまりうまくいっているようには見えない。つまり姉妹車戦略は過去のものになりつつある。しかしここにきて、中国勢が姉妹車戦略を展開し始めている。長安の「深藍(DEEPAL)SL03」と「啓源A07」、ファーウェイと奇瑞(Chery)の「智界(LUXEED)S7」とCheryオリジナルの「星紀元(STERRA)ES」、吉利(Geely)の「銀河E8」と「極氪(ZEEKR)007」がそれだ。何が起きているのか?

外資による姉妹車戦略は、当時の規制、海外企業は中国で合弁会社を二つ設立できる、というものに端を発したもの。トヨタ、ホンダ、VWは中国にそれぞれ2社の合弁がある。当初は各社ごとに特徴を出していたものの、あまり合理的ではなく、2015年前後を境に、トヨタであれば一汽のカローラと広汽のレビン、ホンダであれば東風のCH-Rと広汽のブリーズなど、広く姉妹車戦略を展開。現在のトヨタ、ホンダは2社合弁でそれぞれ同じような車種を出すようになっている。

消費者からすれば、例えば、一汽トヨタのカローラが有名だし、欲しい、と思ったものの、自分の家から一汽トヨタ販売店は遠く不便。でも広汽トヨタの販売店は近く便利だから、姉妹車のレビンを購入しよう、となるかもしれない。トヨタにとっては取りこぼしがなくなる。それらも含め、姉妹車戦略は合理的な面もあった。ただ、現在の中国市場は外資が凋落、中国勢が勃興という段階であり、なぜ中国勢は外資のこの姉妹車戦略を採用するのか。

長安の「深藍SL03」と「啓源A07」は全長と全高に微妙な違いはあるが、全幅とホイールベースは全く同じ。エクステリアにはしっかりと差を付けてはいるものの、航続距離も、さらに価格も変わらない。そもそも「深藍」と「啓源」という二つのブランドの位置付けが不明だ。どちらかと言えば、「深藍」は少し高級路線だったと思われるものの、これではブランド多投と思われても仕方がない。

Geelyの「銀河E8」と「ZEEKR 007」に至っては、高級ブランドとして走り出したはずのZEEKRのその路線を放棄するかのよう。長安もそうだが、Geelyも思うようには販売台数が伸びていないことへの焦りがあるかもしれない。ファーウェイとCheryはそもそも別会社のために生まれたものだが、ファーウェイの「界」シリーズの今後を占う可能性がある。