
中国地方国有OEM江淮汽車(JAC)は2023年10月19日、自社が保有している工場の売却を進めると発表、その中には中国新興OEM蔚来(NIO)との協業工場も含まれていたことから、中国自動車業界が騒然としている。いまだに自動車生産資格がなく、JACに製造を委託している形のNIOだが、買い手としてNIOが手を挙げれば、自動車生産資格をクリアする可能性があり、現在NIOが進めている自社工場も稼働の可能性が広がると見る向きもある。
JACは今回売却を発表した工場等の資産は額面で42億元(約860億円)余り、これを45億元(約922億円)程度での売却を求めている。その中にはNIOとの協業第一工場と、第二工場が含まれている。両者協業の詳細は不明だが、第一工場を整備する際、NIO側はJACが数十億元を投資、整備したことを明かしていた。第二工場は合肥市に別途整備されたNeoPark内に整備され、2022年9月に操業を開始、最終的な計画では、年間生産能力100万台、バッテリー年間生産能力100GWhを見込む。
JACが今回こうした資産売却に動いたのは、足元の業績不振がある。2017年以降、最終損益が5億元の黒字を上回ることはなくなり、2020年には1.2億元程度の黒字にとどまった。2022年は実に16億元の赤字に陥り、2023年1-6月ではさらに8億元近くの赤字を計上。2018年以来、NIOはJACに代理製造費として数億元規模を支払い続けており、2022年にはその額が実に11.27億元に達しており、JACにとってNIOはかなりのお得意先となっていた。
そのお得意先の工場を売却するということは、今後この方面の収入がなくなることを意味する。そうであっても今回資産を売却しなければならないほど、JACの経営は厳しい、ということなのだろう。
以上のように、今回JACが売却する資産の買い手の第一候補はNIOとなるし、NIO以外となると逆にまたややっこしくなる。一方でNIOにとっても40億元以上の資金投入には慎重にならざるを得ない。
しかしこれが、この資産を購入することで、仮に自動車生産資格を入手できる、というのであれば、NIOにとっても熟考に値する。NIOは現在、サブブランドとして「阿爾卑斯(ALPS)」「蛍火虫(Firefly?)」を準備、それらに対応した工場を整備中であるが、自動車生産資格が無ければ引き続き製造委託の形を取らざるを得ない。現在、本件についてNIO側はコメントを控えている。一方、NIOは現在、30億ドル(約4496億円)規模の資金調達を検討している、という報道もある。
