テレ東出演の高合HiPhi、それを中国で積極PRする危機的な背景
インテリジェント・ヴィークル(IV)ブランド「高合(HiPhi)」を展開するスマートカー分野のスタートアップ華人運通(Human Horizons)は2023年3月20日、公式WeChatで、同15日にテレビ東京で放送された【中国Tech】No.26に同社が取り上げられたことを発表、自社PRにつなげた。「日本のメディアに取り上げられた」というのが最近、中国のスタートアップのPR手法として多くなっているが、そうした手法を取るスタートアップには共通した、少なくともHiPhiには危機感が背景にありそうだ。

番組は同社の初弾SUV「HiPhi X」の機能を紹介、自動車の概念を変えた、と指摘。確かに中国でも珍しい機能を備えており、日本から見れば斬新に見えるかもしれないが、中国においては珍しい機能のうちの一つ、程度に過ぎず、番組が紹介したオーナーの感想に共感できる中国消費者がどの程度存在するのかは疑問。

番組ではHiPhiの販売が好調、超高級分野ではすでに中国No.1になっている、と紹介しているが、その実態を詳しく説明していない。HiPhiの販売はデータから見れば正直伸び悩んでおり、番組も可能性として指摘した「今後急速にシェアを伸ばす」兆候は見られない。番組がデータを検証していない、あるいは無視したのは明らか。

番組が指摘するように、BYD含む、多くの中国メーカーがこの超ラグジュアリー分野に参入を計画しており、若い世代ほど海外志向が希薄、むしろ国産ブランドに興味を示す傾向にはあり、現在がその過渡期であって、いずれ中国市場では外資系が駆逐されていく可能性はゼロではないが、そう見るのもやや極端な気がする。

例えば、通常は超ラグジュアリーとは言えないものの、中国の特殊事情でその分野に入ってしまう価格帯となるトヨタ「アルファード」は、HiPhiと同一価格帯ながら、HiPhiの数倍の販売実績で今も展開している。HiPhiよりも高価格帯となる「レクサスLM」も月によってはHiPhiと変わらない販売実績を中国では上げている。ポルシェもHiPhiより中国で売れている。

中国現地ではむしろ月販1000台の壁、それを超えられない伸び悩みが指摘され、番組にも出演した丁磊CEOは以前「価格帯から見れば、HiPhiは実質月販1万台を超えている」とも発言、そう考えてしまうと高価格帯の優位性を失いかねないにもかかわらず、そう発言せざるを得ないほど、HiPhiは追い込まれている、と考えるのがHiPhiの現状、と見るべきか。