
新型コロナウイルスの再まん延によるロックダウンが続く上海市で、米テスラに大きな動きがあった。すでに市内最東南に位置する臨港片区に工場を持つテスラだが、第二工場、第三工場も同工場近くに建設、最終的に年間生産能力200万台超える規模になる計画が進んでいるという。同一エリアの自動車工場として、100万台の生産能力でさえ世界的に稀有である上、200万台は破格。テスラにより上海市が名実ともに世界最大の自動車シティになる可能性がある。
テスラの上海工場は一期工場、二期工場、あるいは第二工場、第三工場など言い方に統一性が無く、その全体像は不明だが、第一工場で約55万台、第二工場で45万台の生産能力があり、第三工場では100万台を計画している、という。中国のみならず、輸出の拠点としても、臨港片区は自由貿易エリアに指定されており、利便性が高く、韓国・日本、さらには欧州への輸出の拠点となっている。また、現在までにインドではテスラによる中国製造EVの輸入禁止に近い措置が取られているが、ここも何とかクリアしたい思惑がある。
韓国ヒュンダイはウルサン工場の生産能力が年間153万台と豪語しているが、これは五つの工場の総和であり、一般的に業界としては、世界最大の自動車工場は独VWのヴォルフスブルク工場の年間82万台、次いで仏ルノーの露トリヤッチ工場の年間65万台などがあり、テスラが計画している上海工場の年間200万台というのがいかに大きな数字かがわかる。
先日Twitter買収を発表したテスラCEOのイーロン・マスク氏は、2030年以降にテスラが年間生産及び販売台数を2000万台に達すると表明している。現在のトヨタ自動車とVWの年間販売台数の和に等しいこの壮大な計画について、マスク氏は「決して実現不可能ではない」としているが、上海工場の生産能力引上げはそのベースになるものとなることは間違いない。
ただし、生産能力を1ヶ所に集中するリスクもある。テスラ上海工場も上海ロックダウンの影響をもろに受け、2022年3月から4月にかけて22日間操業を停止した。操業を再開した後も、サプライチェーンはやはり上海近郊に集中しており、足元、部品不足に陥っている、ともされている。高い消費能力と特に郊外ではまだまだ安い人件費、輸出入の利便性等、ビジネス上諸条件が揃っている上海ではあるが、一方でリスクもはらむこの巨大都市に、テスラはアジア事業の命運をかけようとしているか。
