
中国新興EVメーカー最大手の蔚来(NIO)ファウンダーの李斌CEOが先日、投資家との電話会談で、NIOが別ブランドによるミドルエンド以下の市場に進出する可能性を示唆したと伝わった。ほとんど同時期にNIOがコード「Gemini(ふたご座)」というプロジェクトを起動させており、この「Gemini」がミドルエンド以下市場に進出する新たなブランドなのではないか、とも報じられ、これについてはNIOが否定する動きがあった。実質的に中国地場最大のラグジュアリーブランドになったNIOが、ミドルエンド以下に進出するのかどうか、注目されている。
NIOから製造を委託されている江淮汽車(JAC)は2021年5月10日、「モデル“Gemini”の生産ライン柔軟化技術改造プロジェクトに関する公告」を発表、それによれば、「Gemini」は年間生産能力6万台が検討されているという。JACが単独で全く新たなブランドを創出するとは考えられず、これがNIOに関わる動きであることが分かったものの、李CEOが示唆したとされるミドルエンド以下の市場進出のための新ブランドか否かに注目が集まった。
これに対して、NIO共同ファウンダーである秦力洪総裁は2021年6月6日、ハルビンのNIOセンター開設時の講演で、GeminiがNIOとして、NIOとは別のブランドであることを否定した。「“Gemini”は2022年リリース予定の新たな製品のコードであり、それは依然としてNIOとしての製品であり、ローエンドではなく、引き続きハイエンドのものだ」とした。
NIOは2021年4月まで、10万台以上を納車している。その平均販売価格は43.37万元であり、同期間中の平均販売価格で、BMWが41.67万元、アウディが32.50万元と、従来ラグジュアリーを上回る。李CEOは常々、「ライバルはテスラではなく、ジャーマン3」とも公言している。
中国のラグジュアリーと言えば、一汽集団傘下の「紅旗」が思い浮かべられるが、「紅旗」は月販3万台を超えるようになり、NIOの3~4倍の販売規模になっているとはいえ、その半分は20万元以下というラグジュアリーとは呼べないモデルで販売台数を積み上げている。
販売台数が最も尊ばれる中国において、これの最大化を図ろうと思えば、ハイエンドだけでは確かに不十分だ。一方で、中国発のハイエンド構築は、「紅旗」の実体を見るまでもなく、中国では極めて難しいのも事実。それを乗り越えた成功者NIOが、ここでローエンド分野にも進出する、という意義は大きいとは思われないものの、何が何でも販売台数、ということであれば、可能性はありえないことではないのかもしれない。
